市川五月 ポストカードピックアップページへ 市川五月 WEB SIGHT
2006年7月15日、その作品が素晴らしいフォトグラファー、市川五月さんのインタビューを実施!
その作品の瑞々しさはどこから来るのでしょうか? インタビューを通して、その魅力に迫ってみました☆

1. フォトグラファー × 市川五月 × 幼い頃

―      お久しぶりですね(笑) よろしくお願いします。
        さて、まずは五月さんの小さい頃についてお聞きしてみたい
        なと。
        何か写真につながるところでもあればと思いまして。

五月     小さい頃から写真は好きで、親もすごい好きでどこに行くにも
        撮ってたんで、カメラは、とりあえず持っていっていました
        ね、出かける時には。
        写真に関していうとそいういう風に小さい頃からカメラは好
        きだったっていうことと、結構やんちゃな子供でしたね(笑)
        女の子同士だとお人形で遊んだりするじゃないですか。
        私の場合全然そうじゃなくて、男の子と公園で木登りして遊
        んだりとか、そういうタイプでしたね。
        うーん、なんか外にいるのが好きだったみたいですね、家に
        いるより。


―      写真に関しては、小さい頃から親も好きで、カメラが身近にあったということなんですね。

五月     そうですね。
        記念写真程度なんですけど、いじるのが好きでしたね。


2. 写真 × 出会い

―      幼い頃からカメラ・写真とも触れ合うことのできる環境だった
        ということで、ちなみに、写真とのもう一歩踏み込んだ出会
        い、そのきっかけは何でしたか?

五月     高校生の時に、使い捨てカメラを持っているのが当たり前だっ
        たんですよ。
        高校時代の時に、一人必ず一個は持ってるくらいに持ってい
        て。
        友達を撮ったり、学校行事の記念撮影したりしてましたね。
        その頃はなんというか、若かったというか、色々なことに葛
        藤があった頃でもありましたね…。

        学校まで自転車で行ってたんですけど、大きな橋を二つ渡る
        んですよ。
        川を越えて行くので、すごい空が広くて。
        もともとそういう景色を見るのが好きだったんですけど、そ
        の時に感動して、持ってたカメラで撮ってたこともすごい多
        くて。
        それから写真の楽しさを知って、現像して出来上がるのを見
        てとか。
        あとは、その高校生の時にキャンプに行ったりもしたんです
        けど、その時にやっぱり友達もカメラを持って来ていて、撮っ
        た写真に詩を書いたりして遊んでたというか。
        書いて作品作ってみんなで見たりとかしてましたね。
        それからですかね。
        それから一眼レフにたどり着くまでにはまだ時間があるんで
        すけど、きっかけとしてはその辺が大きかったですね。
        それまではずっと運動部で、高校の時もバスケ部でやってい
        たんですけど、その合間々々に写真を撮って現像出したりと
        か。


―      すごいですよね、運動もやりながらその文科系の写真も同時にやっているというのが。

五月     でもその時はまだそれほど力を入れているわけでもなく、本当に好きな時に撮ってという感じでしたね。

―      スポーツも写真を撮ることもどちらも楽しく。

五月     そうですね。

―      高校生くらいだと、友達の寝顔を撮って喜んでるくらいというのがありますよね(笑)
        でもそういうのではなく、芸術志向で?

五月     そうですね(笑)
        使い捨てカメラでどれだけいい写真が撮れるかみたいな。 自分の中でそういうのを掲げて。
        なんというか、意外といいの撮れるなって。 どんなカメラでも。 それが楽しくて、単純に。

3. ハタチ × 独学で写真を学んでいた頃

―      ハタチの頃は独学で写真を学んでいたということで、
        どんな風に写真を学んでいたのですか? またその頃の気持ちを振り返ってみてどうですか?

五月     ハタチくらいになって、友達とルームシェアをするために実家を出たんですよ。
        地元でやっていたバイトとかも全部辞めて、次をどうしようかと考えた時に、
        その時はまだ写真をやろうとは考えてなかったんですけど、
        でも次にやる仕事は、将来に活かせる仕事をしたいと思っていて。

        その時にすごい考えて、自分が今一番楽しいことって何だろうって考えたら、写真だったんですね。
        それと、その時一緒に住んでた友達がたまたま一眼レフを持っていて、
        その一眼レフを借りて撮り始めたらもう楽しくて。
        それで仕事の方を写真屋さんで働こうと思ったんですよ(笑)
        それから写真屋さんを探して、でも2ヶ月くらいみつからなくて…。
        なかなか「いいな」って決まるところがなくて、諦めようかなと、これはもう飲食店に行くしかないかなって
        思っていた最後の最後に、たまたま隣町を歩いていたら募集のチラシが見えて、それでそこに。
        飛び込みで(笑)
        面接して下さいって言って、面接をしたら受かっちゃったんですよ。

        機械なんですけど、そこで現像とプリントを学んで。
        店長さんが趣味よりちょっと上くらいの範囲で写真を楽しんでる人で、
        その人に色んなことを教わって、本ももらったりとか、今使っている一眼レフも安く
        譲ってもらって、それでひたすら撮り始めましたね。
        それから、その写真屋さんに来てるお客さんで、写真をずっと好きでやってるお爺ちゃんで、
        すごくいい写真を撮るんですけど、自分から話しかけて仲良くなって絞りとか色々教えてもらったりとか、
        お勧めの撮影場所を教えてもらったりとか。
        なんかそうですね、仕事をやっていて色んな人と話したりしましたね。

        きちんとしたお店で、明るさとか色味とかをちゃんときれいに調節してお客さんに出すっていうところで、
        調節とかそういうことをできたおかげで、自分で写真の色をきれいに補正したりできるんだといういい
        経験になりました。
        それに55分で出さないといけない写真屋さんだったので、すごい限られた時間の中で、
        画面に映ったものの色をどうやって直したらいいかというのをすごい体得したというか(笑)
        もうパッと見てコンピュータで色を直すので、普通じゃあまり体験
        できないようなことを学ばせてもらったというか。
        そこに四年くらいいたんですけど、それがやっぱり大きかったですね。

―      なるほど。
        その時はご自分で撮った写真は現像とかもされていたんですか?

五月     そのお店はネガフィルムで現像していたので、自分もネガを使っている時には自分で現像してプリントして
        というのをやっていたんですけど、今はポジフィルムを使っているので、プロラボの方でお願いしてやっても
        らっています。

―      はい。 写真関係の仕事を通して世界が広がったというか、そういった時期だったんですね。

五月     そうですね、写真の面白さをより知って、知識もだんだん入ってきてという感じで。
        仕事の方は、やっぱり四年もやってると大体わかるようになってくるじゃないですか。
        その頃に限界を感じてきて、次の段階に行きたいなっていう思いが出てきたんです。
        働いて三年目の時に写真学校に行こうって決めて、一年間働きながら写真学校に通ってたんです。

4. 写真学園時代

―      五月さんが行かれていた写真学校はどんなところだったんですか?
       それと、基礎的な撮り方とかは当然教えてくれると思うのですが、どんなことを学んだんですか?

五月     私が行った学校は特殊というか、本当にプロのカメラマンを育てようという趣旨で
        有名なスタジオがあるんですけど、そのスタジオがやっている学校に行ったんですね。
        普通の専門学校だと、やっぱり一年目はモノクロでとか、写真史を学んでとか、知識々々で来るんですけど、
        私が行った学校は本当に実践々々みたいな感じで、とにかく「撮ってなんぼだ」みたいなところでしたね。
        私がそこに行こうと思ったのは、学費がそんなにかからないというのが大きかったんですけど、
        パンフレットを色んなところから取り寄せた時に…。
        その一番最初の扉って、結構重要じゃないですか。
        そこに、「写真は楽しい」って一行書いてあったんですよ。
        それで、「これだ」と思って、そうだよその通りだよみたいな(笑)
        それでいろいろ見ているうちに、働きながらでも写真を学んで、本当にプロを育成していく
        学校みたいで、そういう人のための、サポートをする学校だったいうのが分かったんですね。
        あ、まさに私のことだ、みたいな(笑)
        それでそこに決めましたね。

―      夜間で勉強したりするんですか?

五月     夜間もあるんですけど、土曜日とか日曜日にもやってくれて、基本的に週一回の三ヶ月コース、
        それをどんどん上のクラスに上がっていくっていう形で、
        一年コースという、本当にプロを目指す人のためのコースがあるんですけど、私はまず基礎を学びたいなと
        思っていたんです。
        今まで全部独学でやってきたから、基礎って何だろうというのが漠然とあって、それだったら
        ちょっと基礎だけでもしっかり学びたいなと思って、その学校に行きました。
        それまで、絞りとかシャッタースピードとかも、本とかで読んで分かってはいたんですけど
        そんなに知識っぽい知識っていうのはあまり知らなくて、割と感覚とかで撮ってたんで(笑)
        ネガを使えば割と自分で補正もできるし綺麗に色も出せる自由さを知っていたので。
        学校に行って、そこからポジフィルムを使い始めました。

―      ところで、ポジフィルムというのは?

五月    普通ネガは反転してるんですけど、撮ったそのままの状態で見れるのをポジフィルムって言うんですよ。
        ポジフィルムはその時から使い始ました。
        学校で学んだことは基本的なことと、あとプロカメラマンを育成するスタジオ系の
        学校なのでもちろんスタジオ撮影もあるし、外でスナップ写真撮ったりもしました。
        私は別にスタジオカメラマンになりたいとは思っていなかったので、スタジオ撮影
        自体にはそれほど興味はなかったんですけど、やってみたらすごく楽しかったです。
        経験できてすごい良かったなと思います。

―      その写真学園では基礎コースだけだったんですか?
        それとももう少し上まで勉強されたんですか?

五月     結局三ヶ月コースのものを三つ受けて、一番上のクラスまで行って卒業しました。

―      あ、それじゃしっかりと修めて卒業された感じで。

五月     そうですね。
        やるなら学べることはしっかり学んでおこうと思って。

―      一年間、学んだみでどうでしたか?
        得たもというか、最終的にこう知識的にも経験的にもこう、成長したかなというようなところって
        ありました?

五月     それはありますね、やっぱり。
        単純に、あ、うまくなったな?!、みたいな(笑)
        一番最初の授業で撮った一本のフィルムと最後に撮ったフィルムでは全然違うなというのは感じましたね。
        学校って、普通の学校もそうだろうと思うんですけど、背中をポンと叩いてくれるくらいのものなんですよね。
        あとはもう自分次第っていうか。
        休みの時はひたすら写真撮って、どこに行くにもカメラ持って、撮って。
        撮るだけ上手くなるっていう感じ。
        それがあったので、やっぱりすごい良かったです。

―      何か、こんなことも気をつけなきゃいけなかったんだって
        いうのはありました?

五月     そうですね、やっぱり露出の調節とかですね。

―      ズームの仕方とか、ピントの合わせ方で言うと、こういった
        ピントのずらし方とか、すごくいいですね(笑)
        (*花の写真を見ながら)

五月     ありがとうございます(笑)
        そうですね、そういうのは自分で色々な人の写真を見て
        勉強したりとか。
        花の写真の場合だと、私はすごい蜷川実花(ニナガワミカ)
        さんの花の写真がすっごい好きで。
        蜷川実花さんは色んな写真をいっぱい撮っているんですけど、
        花の写真がとにかく上手で。

―      五月さんご自身が本当に写真を撮るのが好きで、勉強という
        よりもむしろ好きだからこそ学んでしまうというところで、
        そうした積み重ねが今のスタイルとして現れているんですかね。

五月     そうですね。



5. 仕事としてのフォトグラファー × 作家・写真家としてのフォトグラファー

―      仕事してのフォトグラファーと、作家・写真家・芸術家としてのフォトグラファー
        の違いについて、普段何か感じていることはありますか?

五月     基本的には、あまり違いは感じないですね。
        どっちにしても楽しんでやるというのは自分の中であるので。
        仕事としてはやっぱり責任は感じますね。
        仕事という部分でやっているので、上手く取れなかったとかは駄目じゃないですか。
        なので、プレッシャーとまではいかないですけど、そういうのはちょっとありますね。
        それになんというか、自分の写真を好きでお願いしてくれたりするのが多いので、
        そういう部分で喜びがあってできるというか。
        そういう醍醐味というか、すごい感じられますね、仕事の部分だと。

―      なるほど。
        どちらかというと、違和感というかそういうのはなくて、
        仕事でも楽しんでできる環境というのができあがっている感じなんですね。

五月     そうですね。
        仕事の内容にもよるんですけど。
        一度、大掛かりなCMの撮影を頼まれて、その時は相当緊張
        しましたけど(笑)
        でも楽しかったです、撮っている時はすごいノリノリでとい
        うか(笑)


6. 芸術とは

―      さて、芸術とはという内容で、五月さんと写真の切り口からで
        構いません。
        何か、普段感じていることがあればお聞きしてみたいなと。

五月     芸術関係の詳しい知識はないんですけど、何でも共通のという
        か、原点みたいなのはすごいあるなと感じてますね。
        やっぱり人間がやっていることなので、どこかに人間性とい
        うのが出てくるし、人間そのものの存在というか、そういう
        ものの大きさっていうのはそれぞれに出てるような気がする
        んですよね。
        上手くは言えないんですけど、そうですね、土台というか。
        私のテーマが愛とか希望とかいのちとか、そういうのがある
        んですけど、どうしても人間に必要なものというか。
        そういうものをテーマにしてるんですよね。
        ちょっと偉そうかもしれないんですけど、ものを受ける側で
        はなくて、
        与えることができる側になりたいっていう思いがすごいあっ
        て。
        自分が生きてることで、感じてることとか得たものとかを、
        そういうのをまだ知らない人に流していきたいっていうか。

―      なるほど、写真という切り口で、深いところでそういったとこ
        ろを感じているんですね。
        それぞれの作品にはその作家さんの普段テーマにしているこ
        とやその思いがやはり見えてくると思うんですが、五月さん
        の写真で言うと、常々空の写真がとても気持ちがいいなと感
        じていたんですね。
        (空の写真を見ながら)この辺の空の写真は最近のものだと
        思うんですけど、空が川に映っているものなんかはとても
        美しいなと。
        まさに芸術ですよね(笑)

五月     アーティストって色々といると思うんですけど、写真は(既に)
        あるものを写すじゃないですか。
        たとえば、絵だと真っ白な中から一を作るじゃないですか。
        でも写真は一があって、二を作るんですよね。
        なんていうんですかね、一を作った本人を思い浮かべるとい
        うか。
        例えば空というデザイナーがいるとするじゃないですか。
        そのデザイナーがどうやって空を作ったのかっていうのを考
        えながら撮ったりとか。
        それをさらによく見せてあげたいというか。
        装飾係みたいな。
        花に関しても、偶然にあるわけじゃないと思うんです。
        偶然だとしたらすごい寂しいというか。
        それを撮ることによって、その良さをもっと伝えたいという
        思いはすごいありますね。

―      乾いた都会生活、忙しい毎日の中で、五月さんの写真はなんと
        いうか、さっき空のデザイナーという話もありましたが、
        もし大地を美しく作ってくれた神様がいるなら、その美しさ
        を本当に美しくし切り出しているなと感じるくらい、とても
        感動するんですね。
        (桜の写真を見ながら)この桜の写真のも本当にいいですよ
        ね、すごく感動したのですが。

五月     あ、ありがとうございます。
        桜はすっごい好きで、毎年撮ってるんです。
        日本にいて良かったなって思う時って、桜を見るときなんで
        すよ。
        日本人で良かったと思える瞬間というか。
        あまりないじゃないですか(笑)
        でも桜を見ると、一年に一回、世の中がピンク色に染まって
        てすごいなぁって。
        日本しかこんなに桜が咲いてるとこないし。
        すごい日本人でよかったなって思いますね、桜を見ると。


7. タイ

―      タイでの写真を見ると、風景以外にも子供の写真がすごく良く
        撮れてますよね。

五月     ありがとうございます。
        子供はすごい好きですね。
        何かあると子供はよく撮ってるんですけど、ホームページに
        アップしてないだけで。
        本当にタイで出会った子供達はみんな可愛くて。
        美男美女ばっかりで、なおさら楽しかったですね(笑)

―      タイのどの辺ですか?

五月     バンコクにちょっと滞在して、バタヤビーチっていうところが、
        バスで二、三時間行くとあるんですけど、そっちの方を越え
        て、船で三十分くらい渡ると、サメットとという島があるん
        ですよ。
        そこは、タイ人のリゾート地というか、地元の人たちが
        ちょっと休暇に行くようなこじんまりした島で、わりとヨー
        ロッパの人とかが、バックパッカーとかがね、気軽に遊びに
        来るような島なんですけど、一緒に行った友達が行ったこと
        があって、タイに住んでいたこともあるので、タイ語もしゃ
        べれるし、いいところだということで、連れて行ってもらっ
        たんですよ。
        それが本当によくて(笑)

―      タイってちょっと胡散臭いイメージがりますよね。

五月     そうですよね、イメージ的にありますよね(笑)

―      そういうのを全く感じさせない写真だったので、新鮮だったと
        いうか、新たなタイの一面を感じましたね。

五月     自分でもここはタイなのかっていうくらい、本当に自然があり
        のままにあって、道も舗装されてなくて、
        砂埃で前が見えなくなっちゃうくらいの道路だったりするん
        ですけど、新鮮でしたね。

―      タイなのに、グァムとかサイパンみたいな感じですよね(笑)

五月     そうですよね(笑) 南国の島みたいな。

―      この子とか、すごく可愛いですよね。

五月     この子は最初は公園かどこかで遊んでた子供で、一人でいたか
        ら「大丈夫!?」みたいな感じで声をかけたら、普通にカメ
        ラによってきて、面白いから写真を撮ったんですよ。
        そしたら、お母さんとおかっぱ頭のお姉ちゃんが現れて、一
        緒に写真を撮ってあげてバイバイしたんですけど(笑)


8. 憧れの写真家

―      タイ話をお聞きしたところで。
        先ほど写真家の蜷川(ニナガワ)さんのお話がでましたが、
        憧れの写真家さんというと蜷川さんになりますか?

五月     そうですね、フォトグラファーとしての生き方は憧れてるんですけど、でも個人的に私が写真家として
        やっていくことの情熱を燃やしてくれた人がいて、空の写真家でHABUさんという方なんです。
        日本で空を撮らせたらこの人っていうくらい、空の写真家としてすごい有名な人で、私がハタチの時に、
        バイトを次どうしようかとか、将来どうしようかって悩んでた時に、本屋さんに行った時に初めてこの人の
        写真集を見たんですよ。それで、見た時に、「なにこの人、私みたいな写真撮る」って思って(笑)
        自分みたいに空を撮っている人がこうやって本を出してて、活躍してる人がいるんだっていうことを知
        れただけですごい嬉しかったんですよ。
        私も頑張ろうって思って、それで写真屋さんで働き始めるんですけど、そのニ、三年後かな、そのくらい
        に、初めてHABUさんの写真展に行ったんです。
        その時に写真をひとまず見終わって写真集をパラパラみてたら、なんかおじさんが、
        「これはこんなちっちゃな岩だったんだよ」って言いながら、エアーズロックの写真を指差してきて…。
        「あれ?」って思って(笑)
        それがHABUさんとの初めての出会いで、色々話しているうちにわかったんですけど、その時に写真
        展は、三鷹の空の写真を撮った写真展だったんですね。
        三鷹なんですねっていう話をしていたら、「三鷹といっても仙川なんだよね」みたいな話をされて、
        「へぇ?!」って思って!
        その当時、仙川の写真屋で働いてたんですよ。
        で、「私今仙川で働いてるんですよ」っていう話をしたら、すっごい仙川の話で盛り上がっちゃって。
        そしたらHABUさんが、写真展の写真会場を案内してくれて、仙川の写真を全部一回りして教えてく
        れたんですよ。
        ちょうど写真学校に行く2ヶ月前くらいの時だったので、これから写真学校に行こうと思っていること
        とか、ポジフィルムを使い始めるととか色々話しましたね。
        そしたら数ヵ月後に、写真展の手伝いをしないかという話を頂いて。
        それからずっと写真展の手伝いをさせてもらっています。
        色々話を聞いたり、撮り方とか教えてもらっています。
        空は微妙に変化していくので撮ってる人じゃないと分からない部分もあって、HABUさんとの出会い
        が一番大きいですね。
        私の写真魂をインスパイアさせてくれたというか(笑)
        空という対象物を撮ってるものも同じだし、私が撮りたかった空、出したかった色とかイメージがその
        ものだったんですよね、写真集を見た時に。
        もちろん空が好きで撮ってるんですけど、すごく通じるものがあって。
        前回の写真展の時も額を貸してくれたりとか、家に呼んでもらって勉強会してくれたりとか(笑)
        すごいよくしてもらってます。
        出会えたのは本当にすごく感謝だなと思ってます。

9. シャッターを切る瞬間

―      あと、シャッターを切りたくなる瞬間って人によって違うと思うんですよ。
        五月さんは個人的にはどういった時に「あ、撮りたい」と感じますか?

五月     「あっ」って言った瞬間に切ってますね(笑)

―      それはやっぱり空とか風景ですか?

五月     空もそうなんですけど、人物とかもそうですね、やっぱり。
        花は、「あっ」って言ってからこれをどうやって上手く
        撮ろうかなというのをじっくり考えながら撮ることが多いで
        すね。

―      これは結構そんな感じのものですかね?
        (*梅の花の写真を見ながら)

五月     この形は可愛いと思って、ファインダーを覗いたら「おぉっ!」
        みたいな(笑)

―      「日本的な美しさ」みたいな感じですよね、この一枚は。

五月     そうですね。
        梅っていうのもありますけど。


―      わりと普段からカメラは持ち歩いているんですか?

五月     そうでもないですね(笑)
        撮りたいなと思った時に持っていこう思ったりとか、朝、今日の空はいいなと思って、
        今日は絶対いいのが撮れるぞと思って持っていく時とか。
        そういう感じが多いですね。
        あんまり撮りたくないのに無理やり撮っているとそういうのも写真に出てしまうんですよ。
        なので撮りたくないときはもうきっぱりやめて。

10. メッセージ

―      最後に、今後の夢、これからに向けてのメッセージなどがあればよろしくお願いします。

五月     撮り続けたいということと、やっぱり受けるよりも与えられる側になりたいというのはあるので、
        写真を撮って何らかのメッセージが伝わればと思っています。
        空は、見る人によって見方も感じ方も違って、それぞれがそれぞれの感じ方で感じてもらえたらいいなと。
        それと空を撮っているので大きなものに目をとめて、自分を大事にして、
        その中の一つの存在と感じて生きてもらえらたらなと思っています。
        そういうところが伝わる写真をどんどん撮っていきたいですね。

        個展も企画中なので、ゆくゆくは沢山の数の作品を沢山の人に見てもらいたいですね。

―      はい、ありがとうございました。
        今後のご活躍、本当に楽しみに期待しています☆

Photo by KUNIRA

編 集 後 記

2006年7月15日、ところは渋谷。
その日はとても陽射しが強く、暑い夕方だったのを今でも覚えています。
渋谷駅ハチ公口を出てマークシティーを南へ、246を渡りコンビニやエクセルシオールカフェ、ドトールコーヒー、 ライブハウス「RUIDO K2」があるあたりと言えばピンと来る方も多いのではないでしょうか?
そんな桜丘町の裏通りにある、隠れ家的なちょっとおしゃれかわいい、気持ちのいいカフェで、今回のインタビューを実施しました。

FLY DAYS CLIPSと市川五月さんの出会いは、2005年後半、 色々なアーティストの路上販売で巷ではちょっと有名な井の頭公園がきっかけでした。  それを機にその写真の素晴らしさと、市川さん自身のお人柄の良さを知ることになり、 当店でのポストカードの販売、そして今回のインタビューというようにつながった次第です。  また今回の取材背景には、当店でもよく共同取材をしているウェブ雑誌「kunipod」編集長殿の、市川さんの写真 への大変温かい理解と評価も重なり、いざ取材の運びとなりましたものです。  國澤編集長殿の見識はおそらく確かなものと言えるのではないでしょうか。

今回はインタビュー内容もちょっと幅広く置き、生い立ちから写真学園時代、そして現在までを、 芸術についてやタイ話などを交えながらお伺いしてみましたがいかがでしたしょうか?

特に芸術についてでは、「一を作ったデザイナー」という表現に見られる、 彼女がファインダーをのぞく時の、美の本質に迫る視点が感じられ、 併せて偶然にあるわけではない「花」を言えるその感性には、 大変鋭い哲学的また美的感性を感ぜずにはいられないのは私だけでしょうか?

ともあれ、このように素晴らしいインタビューをお伺いできたとこと、掲載できたとことに、 市川五月さん、kunipod 國澤編集長殿に改めて厚く御礼申上げます。  お忙しい中、今回の取材のためにお時間を割いていただき、本当にありがとうございました。

本インタビューを目にする読者の皆様が、美や芸術について新たに思いを馳せる一きっかけとなりましたら、 また市川五月さんというこれからが期待のフォトグラファーさんについて何か興味を持っていただけましたら、 それこそ編集者の望外の喜びでございます。
最後に、ここまで目を通していただいた皆様お一人お一人へ、本当にありがとうございます。

2006.07.28 Nobuyuki Miura